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コトバノアトリエは、ニート・ひきこもりの就業問題の解決に挑むNPO(非営利活動組織)です。
ほとんどの「働かない若者」は、実は「働かない」のではなく、働く前にどうしてもなんとかしたい問題が心の中にあるために「働けない」状態にあります。
この春、開校した「神保町小説アカデミー」というニート・ひきこもりの人のための学校には、さまざまな心の問題を抱えた若者が通学しています。その多くは、家族の問題や、身近な人の死や、「おまえは変だと言われ続けて、ずっと自分の本心を出せずに生きてきた」ために、健康な社会生活を営めなくなってしまった方々です。
そのような方々が、なぜ作家やライターなどの文筆業に興味を持って「神保町小説アカデミー」にやってくるのでしょうか?
まず第一に、普段家で過ごしているため、メディア接触が非常に多いことが挙げられます。テレビ、ラジオ、インターネット、書籍、漫画、映画、アニメーションなどの消費量が同世代の若者と比べてかなり多く、その結果、「メディアの向こう側へ行きたい」と思います。
第二に、対人コミュニケーションがあまり上手ではないため、なんとか他者と「別の形でコミュニケーションを取りたい」と願います。多くのアーティストやクリエイター、ミュージシャンもまた作品を通じて他者とコミュニケーションを取っているように、コミュニケーションに困難さを感じる人間にとって、表現活動はまさに救いとなります。
第三に、表現活動を通じた「自己治癒への試み」という点が挙げられます。アートセラピーという言葉がありますが、文章を書き、人に読まれ、フィードバックを受ける過程には、事実を客観視する、心を整理する、芸術的昇華などの働きがあります。また、この過程は認知療法と呼ばれる精神療法とほぼ同じプロセスを辿ります。
現在は一クラス十三名の生徒が参加し、来年三月までに作家一名、ライター六名を輩出することを成果目標に設定しています。その他の生徒は、十八歳以下のいわゆる不登校や一般的な就職を希望するがリハビリテーションのために参加している者です。そして来年度には、クラスを四倍に増やし、最大六十名の若者を支援できる体制作りを目指しています。
これまでの若者支援はといえば、「あそこの業界若者不足だから、そこらの余っている若者を連れてこよう」といった労働市場のニーズに合わせたものでした。私たちが新たに生み出したいと願っているのは、外部から必要なリソースを調達しながら、若者が就きたい仕事に就けるよう支援する仕組みです。それは夢物語のように聞こえるかもしれませんが、今ニート・ひきこもりの若者の就業先は、福祉、飲食、農業、工場などが中心となっています。しかし、それらの職場は、二十年後にはほとんどが東南アジアからの出稼ぎ労働者の職場となっています。なぜ、ニートやひきこもりになったら社会の底辺で生きなくてはならないのでしょう?
二十年後、中年になったニート・ひきこもりの若者が絶望し、暴動を起こすような国にしないためにも、本格的な格差社会を前に、新しい若者支援がこの国には必要です。困難はたえずあり、試行錯誤もまだ始まったばかりですが、若者が二十年後も生き残れる社会を創出してゆきたいと願っています。
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